『CURE』、『降霊』に続いての黒沢清監督&役所広司の三作目、と言ってもいいんでしょうか。前二作とは少し違い過剰な説明らしい説明はなく、そして例のごとく淡々と、それでいて幻想的にも思えるような雰囲気で話が進みます。
ある森に生えている「カリスマ」と呼ばれる樹をめぐる話。ただそこに弱弱しく生えているだけの筈なのに、神秘性を感じてしまうのは見る人間の錯覚なのか、それとも。
タイトルロゴといい、中央の飛行機?が無限大のマークになっているポスターといい、独特の雰囲気と言うか終末観とでも言うべきものが滲み出ているのではないでしょうか。
前作ほどは恐怖描写を前面には出していませんが、見ていて全く安心できない絵作りは健在です。一番イヤだったのは、光の当て方とかカメラワーク的にはちっとも不気味ではない筈なのに、淡々と物事が行われてかえって不気味なハンマーで作業的に打ち付けをしているシーンですね。
なんだかこの方の作品となると怖かったシーンを述べてばっかりですが、それくらい記憶に残るシーンを毎回作ってしまう監督の力量あってこそでは、ということで。
本当に未見の人に説明しにくいし、誰にでもとは薦めにくいし、隠喩が多く分かりやすい内容とは言いがたい。それでも、この作品の存在感だけでも皆さんには確認していただきたいな、と望むのです。
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