かなり強烈な印象をはなつ、新世代のホラー映画といっても差し支えない出来栄えだと思います。ホラーといってもいろいろ細かいジャンルわけがありますが、それすら知らずに飛び込んだほうが、物語に翻弄されるかと思います。
予告編もうまくできていて、事前に見てもそこまでネタバレにはなっておらず、作品の雰囲気や魅力を伝えるものになってます。とはいえ、できれば予告編すら見ずに「なんだか凄い映画らしいぞ」くらいの何も知らない状況で見たほうが、いろいろと効果的ではないかと老婆心ながら思う次第です。
かなり陰惨な内容なんですが、直接的なスプラッター描写などがほぼないので、実はPG12だったりします。鑑賞してからそう知って驚いたぐらいですけれど、だからといってホラーとしてドキッとしないシーンがない、というわけでもないので、ホラーが本格的に苦手だったら避けたほうがいいかもしれませんが、少しでも耐性あるなら是非見ておいた方がいいと思います。
海外ホラーでよくありがちなのが、予告もなく突然バーンと音をたてる、ビックリ屋敷みたいな底の浅い条件反射的な驚かせ方だと思いますが、本作はじわじわと何かが来そうな予兆を出してきて、こちらの緊張感をあおってくるあたり、和製ホラーに通じるものがあると感じました。安直さがないゆえの、妙な凄みがあります。
ホラーとしても一級品ですが、伏線の張り方が素晴らしく、二度目の鑑賞にも耐えうるものがあります。自分があんまりホラーを見ないからかもしれませんが、ここまで伏線を巧みに仕込んでるホラーは初めて見たので、そういう意味でも驚愕しました。
自分的には『哭声/コクソン』(感想)を初めて見たときのような先の展開の読めなさ、得体のしれなさを感じました。この映画は、いったいどこに着地しようとしているのか、という当惑感。
見終えて劇場から外に出た途端、「戻ってきた……」と安堵して、自分がいかにこの陰鬱な世界に入り込んでたか実感しました。
ホラー映画がよほど苦手でなければ、是非見てもらいたい名作だと思います。
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