原作は幻想作家として名高いJGバラードの同名の小説。自動車事故でしかイけなくなった病気な人々のお話、と言ってしまうと身も蓋もないですか。もっと短く言えば事故フェチ野郎Aチーム?
結論から言えば、原作ものは原作を読むのがいいのではないか、という当たり前すぎる結論に。版元のペヨトル工房はもう存在してないんで図書館に行くしかないようですが、あの装丁は好きだったんで探してみるのも一興か。
映画に話を戻しますと、クローネンバーグ監督ということで勝手に期待しすぎたのが悪いのかもしれませんが、描写が割と淡白。見終わった後で成人向けと気付いたくらいに。
何よりもどうかなぁと思ったのが、見終わっても「もう車に乗りたくない!」という感情が皆無な点。もう少しスピード感とかそれに対する恐怖感とかくらいはちゃんと描写しておかないと、禁忌さというものが見えにくいのでは。
作中の病気な人々は存在しているだけでかなりアレな感じだったんですが(交通事故とは破壊的行動ではなく、生産的行動だ!とか言うあたりが)、ただ淡白に配置している印象がいなめず、演出次第でもっと違った印象になったんじゃないかと思います。このへんに監督の思想がこめられているのかもしれないけれど。
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