見た目はちょっとデザインが変わってるけど、割と王道っぽい雰囲気……と思ったら大間違い。怪作とまでは申しませんが、かなりの牙を隠し持った個性的な作品でしょう。王道的どころか人を選ぶのは間違いないです。
まみりん達がしばらく実家に帰るというので、その間にクリアできるくらいでストーリーが面白そうなゲームでもゆっくりするかなぁ、と思ってたら本作の噂を色々と目にしてしまったのです。いわく「ゲーム史上でも類を見ない仕掛けがある」だとか「実は某作品の世界観と共通するとか」だとか「プレイヤーをあんな形で巻き込むなんて」だとか、ネタばれではないギリギリの線の言葉が、世間の端々にあるのを視界の隅に入れてしまったのです。
期待しすぎないように、と自戒しつつ思いつつプレイしましたが、これはいいゲームでした。”最後の最後まで”プレイしましたが、そう思えます。ただし他人に手放しには薦めません。薦められない理由は直接的に書けないので、まずはオススメな点から挙げていきます。
アクションRPGなのですが、あまり経験値稼ぎをしなくても自然とレベルが上がってるので、単調作業をやってる感じは薄いです(とは言え、やり込んで武器のレベルとか上げたりすると大変そうですが)。アクション的にも軽快で、レスポンスも良く、アクション的に奥深いかと言われると弱いところはあるものの、ストレスは感じず楽しく遊べました。
この作品の一番のウリは世界観でしょう。グラフィック的にはHDゲーム機としては弱めかもしれませんが、リアル路線とは微妙に違ういい雰囲気を出していると思います。音楽もかなり素晴らしく世界観とマッチしていますし、キャラクターを演じる声優さん達の熱演もかなりのものです*1。
そして何よりもストーリー。決して明るくもなく、派手さもないですが、直接的な説明をしていないのがいい。全てを一度に語るのではなく、イベントの一つ一つに地味に真相の欠片がちりばめている感じなので、想像する楽しみがあります。物語の軸となる部分はちゃんとメインストーリーだけ追っていればキチンと追えるような分かりやすい内容になっているのですが、バックボーンとなっている内容が面白いですね。
そういう意味では、必ず2週目はプレイした方がいいです。同じように見えて、違う見方が出来ますし、アクション的にも軽快でレベルやアイテムは引き継げるので、かなりサクサク進んでストーリーだけ味わえますので。
とはいえ、メインストーリー以外で気になるところが色々出てくると思います。物語の裏事情の考察をしてると、点と点が結びついていくような所があって、こういう楽しみ方は別会社の作品ですが『SIREN』を思い出させます。『SIREN』シリーズみたいな凶悪な難易度ではないので、ああいった楽しみが好きな人にオススメします。ぜひとも何の前情報も持たずに世界を楽しみ、色々考えつくした上で、副読本を熟読する、といった贅沢な楽しみ方をされてみてはどうでしょうか。
攻略本という要素もありますが、個人的には設定資料集という位置づけが強いと思ってます。本編では直接的に語られなかった事実が色々と圧倒的な文章量で記載されてますので、ファン必携です。プレイヤーが知りたかった事も、知らなければ良かった事も、それはもう色々と掲載されているので、この残酷な世界を存分に味わいたい方は覚悟して手にすべし。
サイドストーリーとして短編小説も掲載されていますので、読み応えは十二分にあります。
で、ここからはお勧めにしくい要素について、ネタバレ全開で書いていきます。
確実に人を選ぶ作品ですが、人によっては忘れられない逸品となるかと思います。ぜひ手にして、そして貴方がこの作品を受けいれられる事を祈るばかりです。
- 注1 : Xbox360版だと英語音声で字幕みたいなので、個人的にはPS3版を薦めておきます。そういえば某キャラクターが実は『ペルソナ4』の陽介と同じ声優さんと後から気付いて驚きました。事前に知ってたら、コイツそのうち「カレーなのに辛いとか甘いじゃなくてクセーんだよ!」とか言いやしないか、と違う心配をしそうだったので気付かなくて良かったです。
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