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PS2

サイレントヒル4 THE ROOM

シリーズ4作目にして思うのです。何をもってサイレントヒルとすべきか。サイレントヒルならではというものは何なのか。サイレントヒルというシリーズの本質は何なのか。
暗くてドアが見えない、アイテムが見えにくい、という声があったからでしょうけれど、本作は基本的に明るいです。今までみたいに、暗闇の中を小さなライトだけで移動し、たまに聞こえてくるラジオのノイズで敵の存在を知らされ、探索するだけも怖い……といった雰囲気は消え去りました。そのくせ重要アイテムなど見逃しがちな按配はどうしたものやら。そういうわけで全く怖くないです。作ってる側もプレイヤーを驚かそう、怖がらせようという気はあまり無さそうですし。予告編のムービーの怖さはなんだったのだろう。
まぁ前作の3が不気味ではあっても怖くは無かったので、個人的には奇想博覧会でも見物できればいいやと思ってプレイしてみたのですが、これがまたあっさり目。たまーにおおっと思うような風景はあるのですが、それって本当にたまーにしか出会えません。前作みたいにゲームには直接関係ないんだけど、意味が分からなくてとにかく不気味な背景、ってのが皆無。
今回のウリって確かアクション性の強化もあったかと思うのですが、それらがまた活かしきれていない感が強いです。ため攻撃で完全無敵になるせいで、基本的には一つの武器を持ってるだけでクリアできちゃいます。と言うかアイテム数制限があるくせに、銃の弾が10個でワンアイテムとして数えられるのはどうかと。敵によってどのアイテムにしようかと悩ませたり、安全なところじゃないと回復もおちおち出来ない、といったところで焦燥感を狙ったのでしょうけど、単にプレイヤーがイライラしただけではないかと。
ゴーストという新要素も最悪。ゴーストなのに殴り倒せるので恐怖感の欠片もないです。ただの邪魔な壁でしかなく、出てきたら怖いと思うよりもウザいとしか思えません。死なないくせに、一時的に倒しても即生き返るので意味ないし。倒れて一秒もしないうちに起き上がるなっての。この点において『SIREN』は90秒くらいに設定していたので、プレイしてる時は頭にきたものですが、結果的にほどよく緊張感が出るバランスだったのだと思います。
ゴーストを特定のアイテムでその場にとどめておくことも出来るのですが、これの数が少なくてどのゴーストで使おうか悩むのはいい要素だとは思うのです。しかしだいたい事前から一本は持っている事になるので、最初に強敵ゴーストに出会ったらその場で使っちゃって、はい終了ってな感じです。みんなこうしますって。プレイに幅なんて出ませんって。これだったら各エリアの最後に必ず一本ずつ剣を配置し、それをそのエリアで使わないとクリアできないようにしても良かったと思います。そのエリアが終わるまでは、ずっとそのゴーストに追いかけられるので緊張感が持続するでしょうし。
そもそもゴーストってそこにいるだけで不気味、というのが怖さじゃないでしょうか。もはや攻撃しなくてもいいから、ただじっと見ているだけでも効果的だったんじゃないかと。出現パターンもただスーッと近づいてくるだけで殆ど変化が無いので飽きも早いし。その上、近くにゴーストがきたらご親切なことにも警告が出るので、気がついたらそこにいた、ということもないので驚きようがない。不可解さとかそういうもの、言ってしまえば幽霊としての情緒が欠けています。あれだけ昔不平を書いていた『零〜紅い蝶』も、今思えば幽霊の扱いがうまかったと思い起こされます。
しかし一番嫌だったのが変わりばえの殆どしない同じ地形を繰り返しプレイさせられたことです。そのうえ味方を伴ってのエスコートプレイだから二重苦です。しかも相手が今まで名前と顔が分かる程度の隣人だなんて、なんの罰ゲームなんでしょうか。でもまぁ人を苛立たせるような文句を言うわけでもないのでまだマシですが*1
ここまで文句を書き連ねてきましたが、決してつまらない作品ではないのです。気になるところが目立ってしまうだけかもしれませんし、むしろ良いと思っているところも多いです。
雰囲気の出ている上質な音楽、ヒッチコックの『裏窓』を思わせるような隣室の覗き見といったシチュエーション、自室が異常なのに窓から見える外界は平和そのものというギャップ、作品内で作中法則をプレイヤーに意識させておいてそれを逆手にとった演出、自室と異世界という構造をうまく意識していないと解けない謎、人間のじめっとした狂気が印象に残る手紙の数々、今までのシリーズをクリアしてても先の展開が予想しにくいストーリー、といったところはとても好きです。
だからこそゲーム性まわりが残念な結果に終わり、もったいなくて愚痴ってしまったわけですが。今までのサイレントヒルにとらわれず新しいサイレントヒルを作ろう、という意欲は素晴らしいと思うのです。しかしだからこそ、サイレントヒルとしての本質は何なのか、というところにだけは囚われていて欲しかったと思うのです。

  • 注1 : そうです、『SIREN』のメガネの姉ちゃんの悪口を間接的に言ってます←こう書いた時点で直接的

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