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パラサイト 半地下の家族

パラサイト 映画

映画『パラサイト 半地下の家族』オフィシャルサイト

韓国映画はとてつもない傑作を数多く生み出してきたと思います。『殺人の追憶』『殺人者の記憶法』『母なる証明』などなど、本作もそれらの傑作に劣らず凄まじい内容ですね。ハリウッド映画にはない独特の迫力があるかと思います。

福岡市のKBCシネマという映画館は、単館系でマイナーな映画を上映していることが多く、20年近く通ってますが、人生において映画の価値が上位にあるようなツワモノ達しか来ないというイメージがありました。ポップコーンを売ってるけど買ってる人も食べてる人も見たことがなくて、ここならシネコン系映画館によくいるような不愉快な客は居ない、と安心してました……今までは。

まさかの長蛇の列。ポップコーンや飲み物を買う人々。スタッフロール中に席を立って扉を開けて光を入れる人。今までこの劇場で見たことがない風景に驚かされましたが、それだけ一般層にも請求度が高い作品なのでしょう。冷静に考えたら、KBCシネマで一日5回も上映される作品なんて、めったにないですし。

作品の話に戻ります。

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本作はカメラワークが独特で、半地下という状況を冒頭のワンシーンだけ如実に表現して、なんともいえない不穏さを感じさせているのが特に白眉ですね。映像的に格差というものを短時間で表現しきっており、そのあとのWiFiが入る場所を探すシーンも、半地下社会の貧困をさらりと描いてそつがない。

ハラハラするシーンが多いですが、個人的に一番ぞっとしたのは、監視カメラの向こうに立ってた人物の表情。なんか普通じゃない、というのを演技だけであそこまで伝えてくるのは尋常じゃないでしょう。そしてあのシーンを境目に、物語は思わぬ方向へ転がり落ちることに……

ホラー漫画が得意な人はギャグ漫画も得意という説がありますが、映画でもそのような傾向がある気がしました。最近で言えば『コクソン』や『アス』のように、緊張していいのか笑っていいのか判断に悩むシーンが多く、本作も似たような感覚を覚えました。

おばさんが蹴り飛ばされるシーンとか、息子のトラウマになる「幽霊」のシーンとか、そこだけ切り取られても笑えないと思うんですが、一連のシーンのあとで登場することで、この不可思議な感情を想起させるのではなかろうかと。遠回しな言い方になってしまってますけれど、自分が知らないだけで、この感触を表す言葉が存在している気もしますね。

サスペンス映画として伏線の仕込み方・回収の仕方も申し分なく(特に人の二倍も食べる家政婦という伏線はシビれました)、終盤にかけての怒涛の展開に圧倒されました。迷わずパンフレットを買ったのですが、裏面をみてギョッとしてしまいました。

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一見すると何気ない風景でしかないのですが、映画を見終わった貴方であれば分かるでしょう……この風景がとてつもない意味を持っている事実に。こういった風に、作品を未見だと何気ないのに、鑑賞後に見るとおぞましい意味をもつようなシーンって大好きなので、これはガツンとやられた気分です。最高!

見終わってから、『母なる証明』の監督だと知って、妙に納得してしまいました。そりゃ、完成度も高いでしょう、と。

大傑作。

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