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映画

第9地区

ヨハネスブルグに宇宙人が難民として隔離されている、と聞いて誰しもが最初にアパルトヘイトの事を思い浮かべるのではないでしょうか。南アフリカ共和国は強盗に会う可能性が150%*1といったとんでもない風評を受ける地域であり、ワールドカップ開催後の行方が違う意味で目が離せません。
そういう印象を裏付けるように、冒頭はドキュメンタリー風に地味に物語は進みます。インタビューで「エイリアンを隔離しろ!」と黒人男性が訴えているシーンといった極めて強烈な皮肉を含んだシーンもあって、荒唐無稽な設定であるはずなのに妙にリアリティを感じてしまいます。
そういった冒頭のシーンを見ているうちに、個人的にはアパルトヘイト以外の印象として、『イリーガル・エイリアン』と似た雰囲気があるのではないか、と感じるようになっていました。
見終わった結論からすると、ソウヤー氏の作品ほどぶっとんだ設定ではありませんでしたが、オリジナリティ溢れる力強い作品だったと思います。元になった要素一つ一つは過去の名作から拝借されていると思えなくも無いのですが(むしろこの時代でそうでないものが存在するわけもないですし)、切り口や構成の仕方でここまで新しい感覚の作品に仕上げているのが見事でした。

予算もなく、有名俳優もおらず、ないない尽くしの作品なのにアカデミー賞ノミネート(しかもSFなのに)されているのは、芯がしっかりした作品だからじゃないでしょうか。社会派SF映画と思って敬遠してる方がおられたら、面白い娯楽作品ですから是非ごらんになって見てください、とオススメしておきます。

  • 注1 : 行きで100%の確率で強盗にあい、帰りは50%の確率で強盗にあうので150%換算。

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