前作こと『街』の出来栄えが素晴らしすぎたので、今回の発売にはかなり不安がありました。最近のチュンソフトの作品はどれもかつての黄金時代の出来からはかけ離れたものが多く、続編はかなり質が落ちてる感が否めなかったからです。
そういうわけで買おうかどうか迷ってたんですが、ファミ通[A]大丈夫？ ファミ通の攻略本だよ？レビューでまさかの40点満点を見ちゃって、気が変わりました。本当に満点取るような出来なのか、確かめる価値はあるんじゃないか、と。
最近は年を取って体力が無くなったのか、かつてのようなゲームへの情熱が消えたのか、仕事で時間が無いからなのか。ゲームは買ってもやらずに積んでおくだけ、って状況がほとんどでした。購入したら満足しちゃって、別にゲームを進めなくてもいいや、って感じでした。
しかし、本作で久々に思い出しました。ゲームをやってて先が見たくて仕方がなくて、ついつい睡眠時間を削ってでもプレイしてしまう、というあの恍惚感を。オープニングのカッコよさを見た瞬間、これは面白いんじゃないかと感じたんですが、まさか冒頭からストーリーに引きこまれてしまうとは、良い意味で予想外でした。
チュートリアルも充実しており、序盤でザッピングシステムの面白さを分かりやすく提示してきてくれるのも好印象です。他の登場人物の何気ない行動を変えることで、他の人物の運命が変わってしまう、あの愉しみは健在です。気が付けば色々な人々が入り乱れる群像劇に夢中になっていることでしょう。
他にもシリーズ初体験者向けに良く出来ていると感じたのは、一時間単位でシナリオ間のザッピングが関連してる、という良い意味での縛りでしょうか。たとえば12時から13時までの時間帯は、全ての登場人物を同時間帯でクリアしないと13時以降に進めません。そのため、12時から13時の間のみで試行錯誤すればよいので、悩むとしても適度な感じでとっつきやすいです。あと、一時間（いわゆる一章）おきに、24のような海外ドラマっぽい予告が入ってくるのですが、これが実によく出来ていて、先が見たくて気になるような煽りになってます。
そういうわけで毎回先が気になる所で話が終わるんで、ついつい色々なシナリオを進めてたら、ついつい仕事と睡眠以外[B]リモコンだと食事中もプレイしやすくて便利ですね！←どこから見ても立派な廃人です、本当にありがとうございました。はずっとプレイして、結局三日ほどでクリアいたしました。ちなみにエンディングまで18時間45分かかりました。
ラスト間際まで殆どつまるところもなく進んでこの時間なので、人によってはもっと長くても……と思うかもしれませんが、同じ文章を読み返すような無駄な時間が全く無く、時間あたりの楽しさの密度が半端ないので、個人的にはボリュームという点でも大満足です。プレイしてる時間が全て面白いだなんて、退屈な戦闘シーンが大半を占める大作RPGなんかじゃ味わえない満足感ですよ、これは。
40点満点にふさわしいか、という面で見るとどうでしょうか。個人的には「ここまで一つのゲームをのめり込んでプレイしたのは久々だった」という意味で、稀有な作品だと感じています。やめどきを見つけられず、気が付いたら一気にクリア、そして訪れるお祭りが終わった後のような寂しさ。全ては楽しさの裏返し。
『街2』としてふさわしいか、という面で見るとどうでしょうか。『街』のシステムを使った、別の作品と感じました。『街』は別々のストーリーが8本存在し、それぞれが別々のノリで進んでいくのに対し、『428』では一つのストーリーを複数の人物視点から体感する、といった感じですね。だから『街2』として期待すると多少違うと思うかもしれませんが、そういう期待の仕方をしない方が素直に楽しめるんじゃないかと思います。本作ならではのスピード感、収束感を変なこだわりで楽しめないのはもったいなさすぎじゃないでしょうか。そういうわけで、自称『街』ファンの一人として、こう言わせていただきます。
俺たちが夢中になったチュンソフトのサウンドノベルが帰ってきたんだ！！
そんな想いと共に、もっとたくさんの新規ユーザにもプレイしてもらいたいなぁ、と願っています。これをきっかけに更なるサウンドノベルの続編の登場に期待したいところですね。
面白かったーっ！！
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