アニメ第一期、第二期を見た状態で映画館に行ってきました。アニメ版が犯人を捜査でじわじわと追い詰めていくような感じなのに対し、映画版はまさに劇場版という感じでアクション要素が強めで、銃火器や車両の迫力もかなりのもので、2時間という枠の中でちゃんとサイコパスという世界観を活かしたストーリー展開もあり、テレビ版を楽しまれた方なら満足できる作りじゃないかと思います。
映画単体で見ても大丈夫な作りにはなっていますが、できれば第一期は全話見てからの方がより楽しめるのではないでしょうか。映画版は第二期の少し後のお話ですが、第二期の登場人物が出てくるくらいの位置付けなので、最悪第二期は見なくてもなんとかなるかもしれないです。とはいえ今だとGyaoで第一期、第二期がそれぞれ全話無料で鑑賞できるので、時間に余裕があれば全話見てから映画館に行かれてみてはどうでしょうか。
以下は、アニメ第一期・第二期にも言及したネタバレ感想になります。ご了承の上、クリックして閲覧されてください。
- 犯人がいて、それを捜査する。超能力とか使わずに、近未来のテクノロジーを使いつつも、捜査して理詰めで追い詰めていく。そういった流れとは違うので、作風が違うように人によっては感じられるかもしれません。とはいえ、個人的にはいつもと違うパターンでサイコパスの世界観による思考実験を見せてくれた、と感じて満足しました。
- アニメ第一期では免罪体質のものが居たらどうなるか。第二期は集団的なものが居たらどうなるか。そして劇場版では、シビュラシステムが輸出され、紛争国で利用されたらどうなるか。作品独自のルールを用意し、その上で独自の展開が待ち受けていて、知的好奇心を刺激されますよね。
- 第二期で集団サイコパス測定という要素が出現したので、映画版ではどうなることかと期待したんですが、特にそこら辺は何もなかったですね。さすがに第二期まで全て見てる人じゃないと理解できないとまずいからそうしたのか、今後あるかもしれない第三期にネタを温存しているのか、現時点では何ともいえませんね。
- 第二期では狡噛がいつ出るかと思いながら鑑賞してましたが、実質的には登場しなくて残念だったので、映画版では出るのか出ないのかかなり気になってました。まぁ映画館に入ったらポスターに登場してたのでさすがに登場するとは思ったものの、いつ出てくるのかと楽しみにしてたら、意外と早く出てきてくれて驚きました。個人的にはもっとひっぱってくれても良かったんですが、ストーリー展開上は、あのタイミングで出てくるのがベストか。
- 第一期の最終話では狡噛は「朱」と一回だけ言ってましたが、再開した時は「監視官」といって常森に嫌がられてたのが、なんかよかった。サイコパスはやっぱりこの二人の組み合わせがいいなぁ、と実感。常森といえば、意外にバストあるのかと思ったら、その後のシャワーシーンで気のせいだと気付かされたのが印象に残りました。シャワーシーンって普通ご褒美なんじゃないの。
- 第二期の感想になりますが、個人的には面白かったんですが、世間的にはマイナス評価も少なくないようです。さすがに第一期の神がかった内容に比べると分が悪いのは確かですが。2クールでじっくり描いて欲しかったという希望もあるし、1クールで展開が早くて最初から真相に根付いた内容になっててよかったという気分でもあります。一つだけ要望があるとしたら、シビュラシステムの申し子ともいえる二人の対比をもっとわかりやすくしてもらえると、最終回での対峙したシーンなどはもっと映えたのではないかなぁ、と。
- まぁ第二期で一番驚いたのは、結局のところ、霜月。何あいつ。まっさきに退場しそうな雰囲気だったのに、まさか生き残るとは。コーヒー飲みながら疑われてもすました顔で対応するし、通常の悪役よりもある意味キャラたってるんじゃなかろうか。劇場版でも憎々しい性格だったので、第三期があればふてぶてしくしててほしい所存であります。
- 第二期の悪役といえば、鹿矛囲よりも東金だと思ってるんですが(シビュラシステムの光と影、といった感じで)、最終巻で東金が小物感が出てきたのが少し残念でした。過去最高の犯罪係数の名に恥じない無茶苦茶なことしてくれたら良かったんですが、顔芸がすげえなぁ、というところ以外はあまり。途中までは不気味だったので至極残念。まぁああいう最後にするには仕方なかったのかもしれませんが、やはり第一期の槇島が至高すぎて霞みます。Gyaoの第一期配信で最終話だけ見直しましたが、やはりあの詩的ともいえる神々しささえ感じさせるラストが素晴らしすぎます。
- そういう意味で言うと、映画版の敵役をデスモンド・ルタガンダ(傭兵団リーダー)とみなした場合(ニコラス・ウォン大佐の方が立場的には敵なんでしょうけれど、なんかねぇ)、2時間という枠組みの中で魅力的な敵役になってくれてたと思います。学があったり、狡噛を引き入れようと臨機応変に対応したり、全てにおいて人生を楽しんでる風だったり、大物感があってよかったです。特にラスト真際で狡噛が潜り抜けるのを手助けして、その後何事もなかったように格闘し始めるところとか。劇場版だけの登場になってしまったのが惜しい逸材だったかと。
- テレビ版の主要キャラが大抵出てくるので、ご褒美みたいな気持ちで鑑賞してましたが、まさか槇島まで登場してくれるとは嬉しい誤算でした。殺されるシーンが暗い場面になってたので、見ようによっては死んでないかもという捉え方も今までできてた気がしますが、「死人は黙ってろ!」と言われ銃弾や人をすり抜ける場面があったので、さすがに死亡確定ですね。死んでもなお狡噛に影響を及ぼしてますか、槇島。
- 第一期の終盤までは頼りなかった宜野座が、第二期、劇場版と回を重ねるごとに精神的に逞しくなってて、狡噛とのシーンは腐女子歓喜だろうなぁ、とよこしまな目で見てしまった自分はオタクという業から逃れられないんだなぁ、といった思いで見てました。なんであの瞬間だけ客観的だったんだろうか。
- スタッフロール後の選挙速報がひっそりと皮肉がきいてて、なんだか『国民クイズ』を思い出してしまいました。民衆が望むものは何なのか。結局子供が銃を持つ練習をしていて、それを穏やかな顔で見つめる狡噛。その手にはもう本もなく、タバコもなく。
初公開日の翌日夜中に見てきましたが、博多駅9Fの劇場だとまだ設定資料集が配布されてました。マイナーな映画だと初日にいろいろ瞬殺されることが多かったので、本作の場合は結構数を多めに用意されてたんでしょうかね。
手のひら大の大きさの紙で8枚カラー(16ページ)となってます。小さいながらも細かく印字されてて、イラストを描かれる方には参考になる資料たりえるのではないでしょうか。
アニメ第一期、第二期、劇場版と続きましたが、この先シリーズはどうなるんでしょうか。結局のところ何も解決してないとも言えますし、続けようと思えばまだまだ続けられるのではないかと期待しています。
コメント