オウム

うちのママはとっても陽気で、いるだけで周りがパッと明るくなる人です。金魚ネグレクト疑惑も灰色のまま、二匹目の金魚も生ゴミに・・・でも悪気はないのです。
この前、父方の祖母が入院している病院に母と妹と三人でお見舞いに行きました。
祖母がいる病院の6階は痴呆症や寝たきりの高齢者ばかりが収容されているところで、正直はいると気がめいります。老いるということがこんなに酷なのかと、ただ、ただ、悲しいのです・・。
いつものように返事のない祖母に一生懸命話しかけていると、何処からか声がきこえてきました。
「オナカガイタイノー。オナカガイタイノー。オナカガイタイノー。」
それは男性か女性かも区別がつかないほど奇妙な声でした。ああ、両親や自分もボケてしまったらどうしよう・・。自分が死ぬ時は誰にも迷惑かけずに自分が自分であるうちにパタッと死にたいなあ・・。なんて考えていたら、母の声が・・
「あら?ここはオウムを飼ってらっしゃるの?」
部屋にいた看護婦さん達、妹と私、笑うのは不謹慎なのは分かっています。分かってますけれど・・・!
看護婦さんははにかみながら困ったように「いえ、違いますよ・・・。」
「おっお母さん!そんなわけないじゃん!」
妹も私も恥ずかしいやら、申し訳ないやら・・・看護婦さんに睨まれなかったのが救いです。母はそんな私達に気付いた様子もなく、
「ちょっと、どんな人か見てくるわ。」
と病室を出ていってしまったのでした。
そんなお母さんが好きでたまらない私はやっぱりママの子供なのだなあ・・と。

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