テンションの上がる瞬間

「ダーリン、最近のテレビって面白くないよねー」
そう思うなら見なければいいのに、と思いながら二人で夕食時にテレビを見てました。番組では状況限定でウケる定番ネタとやらを紹介してます。
「なんかさー、博多競艇とか幼稚園児とか、当人達だったら面白いのかもしれないけど、私達にはあんま面白くないよねー」
「まぁ状況限定って断ってるからしょうがないんじゃないの」
するとCM直前だったのか、次のネタに関してはモザイクがかかっていてテロップだけ出たんですが、その文字を見た瞬間にまみりんが興奮しはじめました。
刑務所限定で爆笑間違いなしのネタ
「うそー！　CM早く終わらないかなー！　早くネタ始まらないかなー！」
「シャバに居るまみりんには関係ないネタじゃんか」
「何言ってるの、私の大好物だよ！」
その時のまみりんは、2chで見つけた痛い書き込みを俺に紹介してくる時のような、上から目線で得意げな顔をしてました。口の端がニヤッと上がっててもおかしくないような。
そしてCMが終わり、実演が始まりました。ナポレオンズによる手品で、受刑者達が見たくて仕方がないものを出してみせるとのことです。両手で壷を描くような仕草をしながら、ボンッキュッボンってモノを出しますよーといいつつ、鍋から出してみせたのは……手錠でした。司会者が「これ、ウケるんですか？」と質問したら、飄々とした表情で「いや、全然」と答えている姿には風格すら感じましたよ、ええ。
「ダーリン、面白かったねー！」
ジョギング後みたいに顔を赤らませたまみりんに対し、「ああ、面白かったよ（まみりんのテンションの上がりっぷりが）」と答えながら、そういえば今日は文化の日だったよなぁ、と思うのでした。