会社の先輩とお昼ご飯を食べて別れた土曜の夕方。
きもの屋を通りがかるとカワイイかんざしを見つけたので購入しました。
かんざし1本しか買ってないんですが、「保障もきくから」と名前の登録を求められましたが、面倒なので断りました。
それから店員のおば様がやたらと話しかけてきて、展示してある着物の模様について説明してくださるので、イラレで模様を作るときの参考にもなるし、ちょっと見ていこうっと思って、いろいろ着物を眺めておりました。
するとおば様が「ちょっと着てみない?」と言ってきました。
「買う気はないので・・」と断ると「おばちゃん暇やけん、いいのよー。」とおっしゃるので(ほんと暇そうだなー。)と思って着せてもらうことにしました。
始め、えんじ色の地味な着物を着せられて、「うーん、地味ですねー・・。」と首を傾げました。すると若い男性店員が現れて、「寺島しのぶプロデュース」の新作きものを持ってきました。
紺色にパステル色の花柄でなかなかモダンでオシャレ。周りの店員さんにも「よく似合っている!肌の色が明るく見える!」と誉められました。誉められてばかりも何だか悪いので適当に店員さんをヨイショしつつ、
「さすが素敵なお見立てです。これっておいくらなんですか〜?」っと尋ねた瞬間、周りの空気が止まり私の質問はスルーされました。聞いちゃいけないこと聞いちゃったのかなー・・。まあタダで着せてもらってるから値段のことは聞いても無駄ということか。
他にも着物に合う小物をいろいろ見せてもらったり、付けさせてもらったり。店員のオバ様の選ぶものはイマイチで好きではなかったけど、タダで付けさせてもらっているのでケチを付けるもの悪いと思い適当に感動しておりました。
店員さんにもすっかり打ち解けて、年下のはずの男性店員もいつのまにかタメで喋っている和やかな雰囲気で楽しい時間が過ぎました。
そして
「着物の御仕立てってどのくらいかかるか知ってます?」
店員さんのこの一言でもっと楽しくなってきたのです。
なんでも反物代以外に仕立て代が7万かかるらしいです。
そして私の御仕立て代は反物代合わせて28万円で、月々15000円で3年ローンで手に入るんですって!・・・・・。
「は?」
もしかして・・この人達は本気ですか?通りすがりに着物30万買っちゃう人が居るんですか?
「僕も着物買ったんですよー。ローンで。一緒に頑張りましょうよー。」
「お似合いですよ?私も3着持ってます。」
「私も娘に何着か。」
陶器のような店員達の笑顔が怖い。
うそお・・。私ってカモだったんかー。暇つぶしに遊んでくれたんじゃあないのかー!!
通りすがりで30万の着物なんて買うわけないじゃない・・。ここの店員アホか。
私が面食らって店員達を見回していると
「ふふ。迷ってるみたいやね〜。でもね、きものは出会いなんよ。自分の好きな柄が似会う柄だとは限らないんやから。」
年下なのにタメ口の男性店員が得意げに当たり前の事を語ってます。
「へぇ〜〜!さすが〜。いい事言いますねぇ〜。」とベタに誉めてみました。
「いや、ほんとよ。自分が好きで似合う着物ってなかなかないんよ。」
若造、さっさと転職考えれば・・・。
他にも着物を着ると周りの注目を浴びる、席を譲ってもらえる、写真を撮る時人より前で撮ってもらえる、電車で駅員に声を掛けられやさしくしてもらえる、一番良い席に案内してもらえる等心底どうでもいい特典を並べられて喜んでいました。
「いえいえ、いきなり30万の着物なんて買えませんて・・。」と言っても「100あるうち、欲しい気持ちってどれくらい?」とか聞いてくるんです。正直全然欲しくないんですが、「0」とも言えず困っていると遂に後ろから強面の店長が登場。
「そろそろ結婚生活に波風を立てた方がいい。」とよく分らない事を言い出したので聞いていると、
「もし旦那が怒っても「貴方が私に何をしてくれた?」と言えば男は弱いんだ。」
「へぇ〜!そうなんだぁ〜あはは〜。でも買いません。母の着物のセンスが好きなので母が良いと言ったものしか買いません。」
もうそろそろ帰りたい。
すると店長と店員が声を揃えて
「嫁入りに着物の一つも持たせてくれなかったんでしょう?親は何もしてくれない。お金を出すのは貴方でしょう?」
ナメられてる私。見た目が買いそうで頼りない感じなんだろう・・仕方ない。でも家庭を傷つけてでも売ろうという姿勢は下品です。
880円のかんざし1本で気がついたら3時間遊ばせていただいておりました。きもの「や○と」さんありがとう。
その後、丁度妹から電話が来たのでこの事を話すと
「アンタ見た目と中身全然違うもんね。」
と笑われました。
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