随想

曼荼羅の向こうの猫

読冊日記 2003年 10月下旬

インスピレーションという”もの”は、精神の曼荼羅の向こうに漂っているような気がしてならない。

精神療法の一つに、感情を絵にぶつけ、その絵を破り捨て、感情を少しずつ昇華していく、というものがあるらしいが、彼の場合、描いても描いても尽きせぬものが内なる曼荼羅の向こうに広がっていたのかもしれない。

描いても、描いても、それは消えず、むしろ彼岸の彼方から注がれていく。