『三体』の作者による短編集『円』に収録されている短編を読んで、思い出したことがある。
生まれてくる息子の名前を考えるため、エクセルでマクロを作ってみたのだ。名字を入力したら、自動的に画数がよい感じの組み合わせを出力してくれる、そんな機能はある意味うまく動いたが、ある意味大きな欠陥があった。
残念ながら出力されたのは、人の名前になりそうに無いものが殆どだった。名前になりうるものだけを抽出するロジックが実装されないと、実用性がなかった。
そういう経験があったから、短編『詩雲』の登場人物が挙げた欠点と最初に作り出される詩の内容はまっさきに思い浮かんだ。ああ、息子の名前の候補に挙がった単語が大量に含まれてるぞ、と。
当時の私は残業まみれで、名前を考える余裕がなくて自動化を考えたが、キラキラネームにすらならない漢字群の中から名前めいたものを探すところまで自動化可能なのかを考えるべきだったが、そんな余裕は色々な意味でなかったのだろう。
結局、息子の名前は三ヶ月くらい自分で考えて決めた。マクロが抽出された中を精査するのと、どちらが早かったかは定かではない。