随想

幻視、もしくは瞼の裏の風景

私の表サイトの感想コーナーは、主に趣味別にコーナーが分かれている。

ゲーム、マンガ、小説、映画。ここまで来ればあと一つコーナーが増えても不思議ではない筈。

そう、音楽。

音楽が嫌いな訳ではない。二者択一で言えば迷わず、好きな方だと答える。

それでも日常生活の中に音楽が占める割合というものは低い。普通の人々がBGMとして音楽を流す、あの習慣がない。

そんな私ではあるが、自分でも良く分からないきっかけと共にCDに手を伸ばすときがある。

手を伸ばすべきか悩みながら、慎重に。私にとっては音楽を聴くというのは、非日常と言えるかもしれない。むしろ、非日常への誘いと言うべきかもしれない。一種のイニティエーションだ。

この辺りのことは他の人間に尋ねた事が無いので、実際におかしいのかどうかはよく分からない。

だから実は私は一般的なのかもしれない。しかしとてもそんな気はあまりしない。気がする。

私は聴いていた音楽が気に入ると、いや音楽に取り憑かれたようになると、何かしらの絵が脳裏に浮かんでしまう。

そしてその絵が起爆剤のように、私の中にある衝動を促す。

創作意欲という名の空しい感情を。

インスピレーション、というたった一言で済ませてみたいところではあったが、音楽が直接的なきっかけではなく、音楽はあくまで絵が描かれる媒体として機能する、といったところだろうか。

何故こんな事を突然言い出したかと言うと、突然再会してしまったからだ。

自分の中の症状を自覚させてくれた画家の作品を。

その名はEyvind Earle(アイヴィンド・アール)。

彼の絵を見た瞬間、瞬時にアイデアが流れ始めたあの瞬間の事は一生忘れる事はないだろう。

それがたまたま二十歳の誕生日だったという事実を除いても。