西暦1998年3月某日。
修論提出を遂げ自由の身となった我々は、卒業旅行の決行を決意。しかし時間があっても金が無いという状況を打開すべく、地元で済ませよう、という高度な政治判断を下す。その為、講座内で有志を募るが、行き先を聞いた途端……
顔面蒼白となる者、
口を手で押さえトイレに駆け込む者、
白目を剥いてその場で痙攣を始める者、
などなど、尋常ならぬ雰囲気に陥る。このような非常事態に3人の勇者が立ち上がった。
俺こと嶽花、俺の彼女こと現妻のまみりん、講座で一番真面目な筈の井上君(仮名)。
我々は地図で大まかな所在を確認すると、「行けばどうにかなるだろう」という希望的観測のもと旅立った。鹿児島市内から自動車で2時間ほど走った辺りに「それ」は在った。いや、待ち構えていた。
不安そうな顔でこちらを見る井上君(仮名)。
いつも通り、何も考えてなさそうな表情のマイ彼女(現妻)ことまみりん。
そんな彼らに対し私が出来るのは、力強く頷いてみせる事だけであった。しかし、唾を飲み込む音が、やたら大きく聞こえた。
↑聖なる飲みモノ↑