旅路の終わり


疲労感と共に車内に倒れ込む我々。しかしまだ油断は出来ない。第2・第3の刺客がやってくるとも限らない。我々は辺りを伺いながら、できる限りの速度で車を発進させた。安堵する私の前で、まみりんがつぶやくように言った。

「けっこう展示が少なくなってたね」

は? なんですと?

「覆いがしてあったけど、あの向こうにあったのかなぁ?」

何がですか、まみりんさん?

「なんか、鹿児島県はムー大陸の北端だった!って地図とか、このムー語を解読できたら100万円!とか、なんか色々あったんだよ」

「あった」って、アンタ、ひょっとして……

「うん、前に来た事有るんだよ。言ってなかったっけ?」

聞いてません。

「小学校の頃、バスで遠足に行ったんだけど、途中で雨が降ったから動物園の代わりにムー大陸博物館へ行ったんだ!白い装束の集団が、あの白い象さんに杖をつきながら入っていったりしたんだよ。なんかムーの末裔の人が来て、熱心に「ムーには人食い人種がいたんです」って説明してたんだよぉ」

「……じゃあ、その人、人食い人種の血を引いてたんだね……」

と私が力無く呟いたのを最後に、もう誰も、何も話さなくなった。

かくして我々は白昼夢のような30分を終えた。

 

↑来る時に、気付いておけよ、看板に(季語無し)↑


なお、この記事はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などと一切関係が無い事を記して、私はキーボードをしまおうかと思う。

当然、写真は全て合成である……多分。