太陽の眩しさを、いっそうと強く思い出さざるを得なかった。闇の底へ、階段は続く。3人の足音が単調なリズムを刻む。果たして何段あるのか。
そう思い始めたころ、ようやく仄かな光が見えた。
一歩中に足を踏み入れると、細い照明の光が薄暗い闇を幾つにも切り裂いている。光の境界で分断された闇という島の間を、我々は次々と泳ぎ、渡っていった。幾ばくかの照明は、数多くの展示物を克明にみせしめるには、明らかに役不足だった。
独特の味わいと迫力を併せ持つ、幾つもの顔、顔、顔。黒い穴と化している瞳孔の奥には、何も無い。ただの仮面、だ。
その筈なのに。
幾千幾万もの視線を感じてしまうのは何故だろうか。降り返るが、やはり仮面しかそこには居ない。だが、自然と足早になるのを止められない。
突然、右腕に痛みを覚えた。弾かれたように手を振り解こうとすると、まみりんが私の腕を掴んでいたのだと気付いた。
「ほら、あれ……」
そちらを見る。
「大宇宙の四大原動力の活動」と書かれた石?
「ムー大陸のシンボル蓮の花」が彫られている石?
「ケツアルコアトル」という名の石像?
「天帝のシンボル(天国の入り口の意味も有る)」と説明の有る、♀マークの石?
どれでもなかった。彼女の指先にあるものは、(この中では比較的)普通の皿だった。彼女は何故この皿をわざわざ見せようとするのだろうか。一瞬の躊躇の後、好奇心が恐怖心を押え込んだようだ。
恐る恐る、そちらへ歩みよる。そして、ガラスケースごしに、私は見た。皿の上に有る物を……
「ヤクルトのフタだ……」
↑何かヤってる最中らしい↑